人は、生前に、法律行為によってさまざまな自己の法律関係を構築することができます(法律行為自由の原則)。この原則は、将来、自己が死亡した時の法律関係にも利用することができます。その手段として、遺言というものがあります。人がした意思表示の効力をその人が死亡した後に効果を発生させる法律行為のことです。自己が死亡した時に自己の有する財産等を誰かに帰属させる旨の表示を生前にすることがその代表例です。
公正証書遺言以外の遺言書について、それを保管、発見した者は、相続開始を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出し、検認の承認をする請求をしなければなりません(民法1004条1、2項)。そして、遺言書は、家庭裁判所において相続人などが立ち会って開封されることになっており(同条3項)、この検認という作業は、遺言書の変造などがされないことを確認する目的で行われます。仮に開封されていたとすると、何かしらの変造がある可能性も生じてきます。
遺言書の内容の有効性については、基本的にどのような内容が記されていたとしても有効なものとして扱われることが多いです。つまり、その遺言書の内容について、明らかに一方の相続人へ納得ができないような不平等と捉えられる内容が記されていても被相続人に意思が尊重されることになるため、遺言書は有効となってしまいます。
しかし、誰かによって開封され変造されたり、遺言書の内容が実際は、一方の相続人に有利な内容で記すように書かせたような被相続人の本当の意思で書いたものであるかが疑わしい遺言書が存在することもあります。となると、不平等な遺言書について争える場面が発生してきます。
不平等な遺言書の無効について争う方法をご紹介いたします。
まず、遺言無効確認の訴えを提起することです。遺言の方式に違反がある、遺言をする能力を欠く、遺言作成に伴う意思に瑕疵がある時の遺言の成立過程に問題がある場合にこれが該当します。もう1つは、遺言の内容に問題がある場合です。例えば、遺言の作成に際して、被相続人が他者の介入による錯誤や詐欺・強迫(民法95・96条)に陥って遺言書を作成したならば、その遺言書は法律行為の瑕疵が存在するので遺言の効力を否定できる可能性があります。
もう1点は、遺留分侵害額請求をすることです。遺留分とは、民法が残された相続人の生活を保障するなどの遺言による被相続人による相続財産の処分を一部制限することにより、一定範囲の相続人に一定額の財産を取得する権利を保障している制度のことです。遺留分の請求をできるものは、民法1042条1項によって兄弟姉妹以外の相続人と定められており、配偶者や子などの直系尊属にその権利を与えています。もし、遺言書の内容が遺留分を侵害する額の遺言内容であるような、遺留分請求権者にとって不平等な内容であった場合は、遺留分侵害請求を他の相続人に意思表示をすることにより、最低限相続人が受けるべき相続を受けることは可能になります。
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不平等な遺言書を無効にしたい場合
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