刑法第208条 「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」
暴行罪が成立する条件は、「暴行を加え」ることです。「暴行」とは、『他人の身体に対する有形力の行使』のことをいい、他人の頭をはたいたり、石を投げつけたりする行為はもちろん、他人の髪の毛を勝手に切る行為(大判明治45年6月20日)や狭い4畳半の部屋で日本刀の抜き身を振り回す行為(最決昭和39年1月28日)、携帯用拡声器で大声を発する行為(大阪地判昭和42年5月13日)も「暴行」にあたります。有形力の反対は無形力で、病菌・光・熱・電気・臭気・音波などがあります。無形力の行使による加害は、基本的には暴行罪として認められません。もっとも、無形力の行使によって傷害を負った場合には傷害罪が認められることはあります。
暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です。公訴時効は3年です。
ここで、傷害罪と暴行罪(208条:暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。)の区別が問題となります。両者の違いは、条文にあるように、人に傷害を与えたか否か、簡単に言うと怪我をさせたか否かです。人を傷害するに至った場合は傷害罪、至らなかった場合は暴行罪となります。つまり傷害罪は暴行罪の行き過ぎた結果とも解すことができます。
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暴行罪
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