夫や妻といった配偶者の不倫や、浮気による慰謝料の請求は、今日でもよく話題となる事案です。その不倫・浮気による慰謝料の額はどのように算定されているのでしょうか。
そもそも、不倫・浮気の慰謝料は誰に請求するべきでしょうか。これは、結論からいえば有責配偶者、不倫相手、その両者に慰謝料を請求しても構いません。
不倫・浮気による慰謝料について、法律では明確な金額を定めていません。実務において、慰謝料の金額を計算し具体的な請求額を算定するためには、配偶者との結婚生活の期間、配偶者間の子供の有無そしてその人数、不倫・浮気による離婚の有無などのさまざまな事情を総合的に考慮して、慰謝料の金額として算定します。おおよその慰謝料の相場としては、大体50万円〜300万円(状況によっては500万円)の間を基準にしていることが多いです。この金額の幅は、先程述べたような個々の事情によっての変動があるため少し大きいものとなっています。
では、慰謝料の請求額がどのような場合に増額され、また減額されるかについて具体的なケースをいくつかご説明いたします。
まず、請求額が多くなる具体的なケースとしては、①婚姻期間が長いほど高額になる傾向にあります。これは、配偶者への心情の配慮や、離婚後の新たな生活への復帰に障害を生じさせることが大きいと考えられるからです。②配偶者が不倫・浮気をしたことが原因による離婚・別居が生じた場合、夫婦間に子供がいるなどが高額になるケースと言われています。離婚・別居に関しては、不倫・浮気による夫婦関係の破綻の大きさが格段に異なってくるため、離婚をしたケースの方が別居に比べて慰謝料の請求額が高額となると言えます。③夫婦間に子どもがいる場合、子どもを養っていくためには、夫婦間の協力が必要であるが、不倫・浮気による婚姻関係が破綻してしまうと、これが得られないという状況になってしまいます。また、それによる精神的苦痛も大きくなることが考えられ、慰謝料が増額されることが多いと言えます。これら以外にも配偶者が不倫・浮気が原因によるうつ、自律神経失調症の診断を受けたなどの身体的苦痛の時も増額されやすいです。
判例では、増額された事例として原告がうつ状態・自律神経失調症と診断されたケースで400万円の支払いを命じたもの、婚姻期間が20年の夫婦で300万円の支払いを命じたものなどがあります。
一方で、少額になるケースとしては、①婚姻関係が継続している場合が挙げられます。配偶者による不倫・浮気があってもその後の婚姻関係に破綻が生じていなければ離婚・別居とは異なり、慰謝料の請求額は減額される傾向にあります。②婚姻期間が短い場合、離婚となっても配偶者は、新生活へ再スタートがしやすいなどの理由から減額されることがあります。③不倫・浮気相手の反省・謝罪がある場合は、減額されることが多いです。また、不倫・浮気相手が仕事を退職するといった社会的制裁を受けていた場合も同様です。
減額になった判例としては、不倫・浮気による不貞行為後も婚姻関係を継続するとなったケースで慰謝料請求額が1000万円に対し、裁判所は100万円の支払いを命じた事例などがあります。
不倫・浮気による慰謝料の請求については、当事者間での話し合いによる解決も可能です。しかし、スムーズに進まないこともあります。慰謝料請求の話し合い、訴訟等をご検討されている場合は、弁護士を通じて進めていくことをお勧めいたします。
松田法律事務所では、千代田区、大田区、江東区、多摩市を中心に、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の皆様からご相談を承っております。
不倫・浮気による慰謝料の請求については、松田法律事務所までお気軽にご相談ください。
浮気・不倫の慰謝料相場はいくら?
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